本楽
宵宮の夜、夜露をしのぐために曳山はテントにすっぽりおおわれていますが、 本日の早朝には再び同幕や見送りを付け、さらに神前用に御簾などで飾ります。これを飾り山といいます。 まだひとけがない早朝、神前に飾られた曳山からは荘厳な雰囲気を漂っています。
登り山で停めた位置は参道に対して真っすぐですが、狂言を奉納する際には舞台を湯谷神社の本殿の方向に向きを変えます。
神前の奉納が始まる正午前になるとお客様が続々と集まってこられます。 まもなく役者達も役者係に担がれてた参道を登ってきます。

古くから伝わる中国で作られた綴れ織の見送り幕は傷みがひどいため本楽の時にしか使いません。境内を出てしばらくする 新しい見送りに替えてしまうので、この古い見送りを見ることができるのはほんの数時間です。
山の後ろにはシートを敷いて楽屋のように使います。衣装を着替えたり出番を待ちます。

神前の崇高な雰囲気の中でたくさんのお客様に見ていただくことは 役者たちにとってとても大きな経験になります。本番中の本番ということを子供もわかっていて 自然と熱が入った演技を見せてくれます。管理人の私も30年前の舞台からの景色を今でも覚えています。 地元ケーブルテレビのZTVでは後日、奉納される歌舞伎をノーカットで放映されます。
祭の期間中、何度か役者を舞台に乗せたまま運行をします。普段は芸が終ると車に乗せられて 次の役者宿に向かうだけなので、この時は役者達も大喜び。「ヨイサーヨイサー」と大きな声をあげて一緒に曳山運行を盛り上げてくれます。