曳山運行の役割
米原曳山祭りでは子供歌舞伎がクローズアップされていますが もうひとつの呼び物が曳山の運行です。しゃぎりとヨイサーの掛け声の中で街中を運行する曳山は勇壮そのもの。 歌舞伎だけでなくこちらも是非ご覧いただきたいと思います。ご覧いただく上でちょっと知っていると見方が変わるような ポイントをご紹介します。
曳山は全て筆頭総代の指示により運行されます。 筆頭は山と若い衆がすべて見渡せる離れた場所に立ち、舞台方に向って昼は扇子、夜は提灯で指示を送ります。 筆頭からの指示を舞台方は扇子、掛け声、それから床を踏み鳴らすことで山を引く若い衆に伝えます。 筆頭以外の総代は山の四方に位置し筆頭を補佐します。筆頭と反対側から遠くを見渡せる屋根係りは 筆頭に先の状況を伝えます。障害物が以外と特に幅が狭く左右に小刻みに曲がっている中町や山町の道では 山を曲げるタイミングが難しく、的確な指示と皆の意思疎通が欠かせません。

<上段左>一番手前で扇子を振るのが筆頭総代。舞台の上にいる舞台方は真中が舞台方筆頭
<上段中>芸を打つ場所で停止する際には筆頭は止める位置に立ち、その位置ぎりぎりまで山を進めます。
<上段右>バックで進む場合には舞台方は見送りを挟んだ位置に二人が立ちます。もうひとりの舞台方は 舞台の上で扇子を振って掛け声をかけますが、後ろ側には誰もいないことが多いのでちょっと寂しかったりします。
<下段右>方向を変える際に重要な役割を果たすのがテコ係り。直接車輪にテコを入れて方向を変えます。 不自然な姿勢で力を入れなければならず、かなり腰にきます。上段右の写真の左の若い衆のような使い方もします。 ブレーキがない曳山ではテコはブレーキ代わりにもなります。
地面の白い線は山を回転させた際に車輪にはまっている鉄の輪によってついた傷です。直進していてもこの跡はつくため 山が動いた後にはしばらくこの線が残ります。